バリアフリーの注文住宅で失敗しないためのコツ! 福井県で使える助成金制度も紹介
2024/02/20
バリアフリー住宅設計は、すべての人が自由に移動し、安心して暮らせる環境を目指しています。目標は、身体的な障壁の除去に留まらず、社会的、心理的な壁も取り除くことです。
注文住宅のバリアフリー設計において重視されるのは、出入口、通路、駐車場、玄関など、日常生活での利便性を高める要素です。これらは、車椅子や歩行器、ベビーカーなども容易に利用できるように、十分な広さと安全性の確保が求められます。成功の鍵は、建設前に利用者のニーズを正確に把握し、実際に試用して潜在的な問題点を明らかにすることです。
2024年2月時点では、新築のバリアフリー住宅建設に直接適用できる補助金は提供されていませんが、リフォームに関しては、介護保険に基づく住宅改修補助金や、住まい環境整備支援事業など、利用可能な補助金や支援制度が存在します。
バリアフリーの理念と間取りの注意点
福井県で注文住宅を建てる際に、将来のことを考えてバリアフリーの住宅を検討する方も多く見られます。まずはバリアフリーの理念と、間取りなどの注意点について紹介しましょう。
◇バリアフリーの理念は障壁を取り除くこと
日本の建築設計において、バリアフリーは「物理的・社会的・心理的な“障壁”を取り除く」という理念として捉えられています。
物理的な障壁を取り除く
バリアフリーの建築設計では、身体的な制約を持つ人々がスムーズに建物を利用できるように、段差のない平らな床や手すりの設置など、身体的なアクセスの容易さを考慮します。これにより、車椅子を利用する人や歩行が困難な人でも建物内を自由に移動できるようになります。
社会的な障壁を取り除く
バリアフリーの建築設計は、身体的な障壁だけでなく、社会的な障壁も取り除くことを目指しています。例えば、誰もが同じフロアへ行き来できるように、エレベーターやスロープの設置や共用スペースのバリアフリー化が行われます。これにより、障がいのある人と健常者が共に生活する環境が整います。
心理的な障壁を取り除く
バリアフリーの建築設計では、心理的な障壁も重要視されます。建物内外の案内表示や設計において、分かりやすさや安心感を提供することが求められます。これにより、障がいを持つ人々が建物を利用する際に安心して移動できる環境が整います。
◇間取りの注意点
バリアフリーの間取りにおける出入口と通路幅、駐車場、玄関について、以下の注意点が挙げられます。
出入口と通路幅
出入口は段差のない平らな構造にし、車椅子やベビーカーなどがスムーズに出入りできるようにする。ドアの開口幅を広く取り、少なくとも90cm以上の幅を確保する。また、ドアの取っ手は握りやすく、開け閉めが容易なものを選ぶ。
駐車場
駐車場は、建物の出入り口に近い位置に配置する。特に、バリアフリー対応のスペースを複数用意し、障がいを持つ人や高齢者が利用しやすい状態を整える。
駐車スペースの間隔を広く取り、車いすや歩行補助具を使用する人が自由に出入りできるスペースを確保する。
玄関
玄関は十分な広さを確保し、出入りが容易な環境を整える。特に、車椅子や大きな荷物を持っている場合でも余裕を持って通行できるようにする。玄関の床は滑りにくい素材を使用し、安全性を確保する。また、ドアの開閉や鍵の操作がしやすいように工夫する。
バリアフリーの注文住宅で失敗しないためのコツ
バリアフリー住宅を建てるときに、失敗してしまうとバリアフリーとしての機能を果たさないこともあります。バリアフリーの注文住宅で失敗しないためのコツを解説しましょう。
◇工事前に要望を確認しておく
バリアフリーの注文住宅を建てる際に、工事前に要望を聞いておくことは非常に重要です。これによって、住宅が利用者のニーズに適したものとなり、快適な生活が実現できます。
工事前に要望を聞くことで、ユーザーが抱える特定のニーズや要求を理解し、それに応じた設計や工事を行えます。バリアフリーの住宅は、高齢者や身体障害者だけでなく、子供を育てる家族や一時的な怪我をした人にも利用するため、家族全員の要望をまとめておくべきです。
ユーザーの要望を十分に聞かず、一般的なバリアフリー設計を採用した結果、実際に住む人にとっては使い勝手が悪いというケースがあります。例えば、車いすを利用する人にとっては扉や廊下の幅、トイレや浴室のスペースなどが重要ですが、これらの要素が不十分だったり、適切に配置されていなかったりすると、日常生活が困難になりかねません。階段の手すりが適切に設置されていなかったり、浴室の床が滑りやすかったりすると、利便性だけでなく安全性の問題も生じます。
ユーザーのニーズや要望を無視して設計や工事を進めた場合、結果的に完成後に不満や不便を補うための追加工事が必要になるかもしれません。
◇実際に試しておく
バリアフリーの注文住宅を建てる際に、実際に試しておくことは非常に重要です。デザインや設備の見た目だけではなく、実際に利用してみることで、その使い勝手や快適さを確認することが重要です。
例えば、車いすや歩行器を利用する方がいる場合、トイレやシャワールームで車いすからの移動や衣服の着脱、介助などがしやすいかを試してみましょう。実際にシミュレーションしてみることで、部屋や設備の配置が適切かどうかを確認できます。
失敗の実例は、鏡の位置が高過ぎる、手すりの幅が利用者の手に合わない、スペースが不十分で一方向からしか便器へアプローチできないなどです。
利用者の声を無視して設計されたバリアフリー住宅では、使い勝手が悪かったり、安全性が低かったりすることがあります。実際に試してみることで、このようなデザインや設備の改善点を見つられます。
◇家全体の温度を一定にする
バリアフリーの注文住宅において、家全体の温度を一定に保つことは重要です。家全体の温度を一定に保つことは、居住者が季節や時間帯に関係なく快適に過ごせるようにします。特に高齢者や身体的に不自由な人々にとって、急激な温度変化はヒートショックを起こしやすくするなど、健康に悪影響を与える恐れがあるからです。健康と快適性を確保するためにも一定の温度を維持する仕組みを取り入れましょう。
家全体の温度を一定に保つためには、適切に設計された空調設備はもとより建物の断熱性も高める必要があります。失敗例としては、段差や手すりなどは設置したものの、断熱性をあまり考えておらず、トイレや脱衣所、廊下などの温度が下がりやすくなったなどです。
家全体の温度を一定に保つことは、エネルギー効率を向上させる効果もあります。一定の温度を保つことで、エアコンや暖房の使用を効率的に管理し、無駄なエネルギーの消費を抑えられます。これは、環境への負荷を軽減し、家計にも負担を軽減する効果があります。
年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てる4つのポイント
ここからは、年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てるポイントを、4つにまとめて解説します。
- 転倒防止対策のスペースを確保する
- トイレを寝室の近くに設置する
- 洗面台を低めに設定する
- 玄関・リビングを広めにする
転倒防止対策のスペースを確保する
転倒防止対策のスペースを確保することは、年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てるポイントの1つです。
階段や廊下を広めに設計すれば、手すりを必要な時に付けられます。
年齢を重ねると膝や腰が悪くなるため、転倒してケガをしないように手すりを使うことが欠かせません。ただし、手すりといった転倒防止対策は設置するスペースがなければ付けられず、段差を無くすような対策しかできない可能性があります。
そこで、長期的に住む家だからこそ、年齢を重ねた際のことを考慮にいれて、階段や廊下を広めに設計することが不可欠です。
トイレを寝室の近くに設置する
トイレを寝室の近くに設置することは、年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てるポイントの1つです。
トイレを寝室の近くにすれば、介護を必要とする場合に負担が減る可能性があります。もし、寝室とトイレが遠ければ、寝室にポータブルトイレを設置しなければなりません。
ポータブルトイレは排泄物の処理や臭い対策が必要など、介護者の負担は大きくなります。家族が快適に過ごすには、年齢を重ねた時のことを考えてトイレと寝室を近くに作ることがポイントです。
洗面台を低めに設定する
洗面台を低めに設定することは、年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てるポイントの1つです。
年齢を重ねると身長が低くなるうえに、足腰が弱り車いすに乗ることも考えられます。洗面台を一般的な高さに設定すると、車いすでは高くて使いづらい可能性が高く、生活が不便になることがほとんどです。
ここ最近では、ユニバーサルデザインの洗面台も増えており、車いすの人のみならず他の人も利用しやすいように設計されています。
年齢を重ねた後の生活を考えて、ユニバーサルデザインまたは洗面台が低めのものを選ぶことも必要です。
玄関・リビングを広めにする
玄関・リビングを広めにすることは、年齢を重ねた後も住みやすいバリアフリーの注文住宅を建てるポイントの1つです。
年齢を重ねて車いすに乗ることになれば、玄関やリビングの窓にスロープを設置する可能性があります。
玄関やリビングを広めにすれば、スロープの設置場所に困らず車いすで生活もしやすくなるのです。また、介護で常時見守りが必要な場合はリビングが広ければ、家族全員で見れるといった利点もあります。
年齢を重ねた後に家族の負担を減らすには、玄関・リビングを広めにすることが賢明です。
福井県でバリアフリーの注文住宅を建てる際に補助金は利用できる?
2024年2月時点において、バリアフリーの住宅を新築で建てる際に補助金や減税制度は利用できません。ただし、リフォームであればいずれも活用が可能です。
◇介護保険における住宅改修
厚生労働省が制定している介護保険の一環として提供されている制度で、特定のリフォームを行う際に、一定の補助金を受け取れます。
次のような改修を行う場合、介護保険施設等の居宅改修工事を行う際に、支給限度額(最大20万円)の9割(最大18万円)の補助金が支給されます。
・手すりの取付け
・段差の解消
・滑りの防止あるいは移動の円滑化などのために行う、床あるいは通路面の材料変更
・引き戸などへの取替
・洋式便器などへの取替え
これにより、高齢者や障がいを持つ人々が安全かつ快適な住環境を整えるための負担を軽減できます。
◇住まい環境整備支援事業
国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」を受け、福井県が実施いしている助成事業です。要介護高齢者が住み慣れた自宅で安心して暮らし続けることを支援するために、車いす対応のバリアフリー化等の改修工事に対し助成金を支給します。
対象者は在宅で生活する要介護度3~5の方、もしくは認知症や障がいによって在宅生活が困難な要介護度1~2の方で、以下のような改修を行う際に最大80万円を助成します。
・廊下、トイレ、浴室などの拡幅
・洗面台、流し台、蛇口の取替え
・階段昇降機の設置
・手すり、スロープ、移動用リフトの設置にともなう壁、床、天井の補強工事
・水洗式ポータブルトイレ設置時の給排水工事
なお、先述した介護保険と重複した箇所の改修は助成金の対象外となるため、ケアマネジャーなどと改修について十分に相談することをおすすめします。
福井県でバリアフリーの注文住宅を建てる際におすすめする工務店2選
ここからは、福井県でバリアフリーの注文住宅を建てる際におすすめする工務店を、2つ紹介します。
- 旭木材工業株式会社
- 有限会社中嶋工務店
旭木材工業株式会社
出典:旭木材工業株式会社
項目 | 詳細 |
会社名 | 旭木材工業株式会社 |
所在地 | 福井県三方上中郡若狭町鳥浜40−13−7 |
設立年 | 昭和23年 |
対応エリア | 若狭町・美浜町・敦賀市・小浜市 |
公式サイト | https://asahi-mokuzai.com/ |
旭木材工業株式会社は、満足のいく間取りにすべく、何度も相談に乗るうえに打合せ回数も多い工務店です。
家を建てる際に最も時間をかけるのは、間取りのプランニングです。手間や時間をかけるほど、納得のいく家を建てられるため、旭木材工業株式会社では打合せの時間を大切にします。
福井でバリアフリーの注文住宅を建てたいなら、旭木材工業株式会社に相談しましょう。
なお、下の記事では旭木材工業の評判や口コミを詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
口コミ
”最初は大手ハウスメーカーや工務店さんでかなり話を進めていました。 しかし、提示された価格や土地の場所、なにより間取りにはプランが決まっていて 自由なお家が建てられないことでなかなか決めきれずにいました。 そんな中で旭木材さんのことを知り相談すると、一緒に土地から熱心に探していただき 間取りにはプランもなくこちらの要望を細かく聞いていただくことができたので 旭木材さんにお願いすることに決めました。”
引用:旭木材工業株式会社
施工事例
出典:旭木材工業株式会社
玄関にはスロープと手すりを設置し、車いすでも上がれる家です。
内装は段差がなく、車いすでも生活しやすい平屋にするために、何度も打合せを重ねて建てた家になります。
有限会社中嶋工務店
出典:有限会社中嶋工務店
項目 | 詳細 |
会社名 | 有限会社中嶋工務店 |
所在地 | 福井県坂井市三国町川崎23-10-1 |
設立年 | 平成2年 |
公式サイト | https://nakajimakoumuten.jp/ |
有限会社中嶋工務店は、社長みずからが営業・設計・材料加工を行うため、低コストで家を建てられる工務店です。
加えて、自由設計で家を建てられるため、希望に合わせ将来を見据えた設計や提案をします。福井でバリアフリーの注文住宅を建てたいなら、有限会社中嶋工務店も検討しましょう。
口コミ
”実は、我が家を見た他の建築関係者に「通常は、中嶋工務店で提示された金額の倍はする」と言われたことがあります。
その話を中嶋社長に話すと、「他では手に入らない素材も、大量に仕入れ・取引があるため安くできる」とおっしゃっていました。”
引用:有限会社中嶋工務店
施工事例
出典:有限会社中嶋工務店
住空間は全てバリアフリーの家です。
ドアは引き戸で、トイレは車いすが入れるように広い空間にしています。また、収納棚は現場で奥行や高さを相談し、使いやすいサイズになるような提案をしているのです。
バリアフリーの住宅設計は、身体的、社会的、心理的な障壁を取り除くことに焦点を当て、誰もが自由に移動でき、安心して生活できる環境を提供することが目的です。物理的なアクセスの容易さを実現するために、段差のない平らな床や手すりの設置などが行われます。社会的な障壁の除去には、共用スペースのバリアフリー化やエレベーターの設置が含まれるでしょう。心理的な壁の除去は、安心感を提供するための明確な案内表示や設計によって実現が可能です。
バリアフリー住宅の間取りにおいては、出入口や通路の幅、駐車場、玄関の設計が重要です。これらの部分は、車椅子やベビーカーがスムーズに通れるように、十分な広さと安全性を確保する必要があります。バリアフリー住宅を成功させるためには、建設前に利用者のニーズを確認し、試用して問題点を洗い出すことが不可欠です。 2024年2月現在、バリアフリー住宅を新築で建てるときに利用できる補助金はありませんが、バリアフリーリフォームであれば、介護保険に基づく住宅改修補助金や、住まい環境整備支援事業を利用できる場合があります。