意外と知らない断熱材!注文住宅の新築が決まったら知りたい断熱材の知識
2023/06/11
断熱材は、住環境を快適に保つために欠かせない建材です。断熱材にこだわることで、光熱費を抑え省エネに配慮しながら、夏は涼しく冬は暖かい、住み心地のよい家を建てることができます。こちらでは断熱材の役割やメリット、素材別の種類や特性などの事前に知っておきたい知識をご紹介します。ぜひ、注文住宅を新築する際の参考にしてください。
断熱材とは?
断熱材とは、室内と室外の熱の伝わり方をゆるやかにする建築資材のことです。床断熱や基礎断熱の工事を行う際に「基礎断熱材」として使われ、室内の温度を快適に保ちます。断熱材はたくさんの空気の層をつくることで、熱を伝わりにくくしていますが、熱伝導を完全に遮断するものではありません。断熱材の内部に一度熱を蓄積し、時間をかけてゆるやかに放射する仕組みになっています。
断熱材の役割
「室内を適温に保ち住環境の快適性を維持すること」が、断熱材の大きな役割です。住宅の壁や天井、床などに断熱材を使うことで、熱が伝わりにくくなり、夏の熱気や冬の冷気が室内に流入することを防ぎます。さらに、室内の涼しさや暖かさを屋外に逃がさず、快適な温度を保つのです。
断熱材を使用するメリット
断熱材を使うことには、以下のようなメリットがあります。
・暖房器具やエアコンの使用頻度を減らすことができるため、省エネや光熱費の節約になる
・住宅内部の温度差が小さいため、身体への負担が少なくヒートショックなどが起こりにくい
・結露が起こりにくく住宅が長持ちする
断熱材の種類|繊維系
断熱材の一種である繊維系断熱材とは、ガラスや鉱物、木材などを細かい繊維状にしたものです。繊維の隙間に空気を閉じ込めることで、熱を伝わりにくくします。繊維系素材は、ガラスや鉱物を原料とする「無機質系断熱材」と紙や木材を使った「木質系断熱材」に分けられます。
無機質系断熱材
主な無機質系断熱材には、グラスウールやロックウールが挙げられます。
グラスウール
ガラスを繊維状にした断熱材で、害虫や、火災に強く、防音効果もあります。リサイクルガラスを原料にしているため価格が安く、ごみ減量の観点からも注目されている断熱材です。
ロックウール
玄武岩などの天然岩石を原料とした断熱材です。耐火性や防音性が高いため、空港などで多く利用されています。
木質系断熱材
木質系断熱材では、セルロースファイバーやインシュレーションボードがよく使われます。
セルロースファイバー
古紙の原料であるパルプに耐熱、撥水加工をした断熱材です。調湿性に優れ、結露対策に活用できるほか、害虫防止効果もあります。しかし他の断熱材と比べて値段が高い傾向があります。
インシュレーションボード
廃木材など、環境に配慮した原料で作られた断熱材です。軽くて加工しやすく、防音性が高いため、音楽スタジオなどに多く使用されています。
断熱材の種類|発泡プラスチック系
発泡プラスチック系の断熱材とは、発泡させたプラスチックの気泡に空気やガスを閉じ込めたものを指します。近年では軽量化されて施工しやすくなったため、多く利用されるようになりました。
発泡プラスチック系断熱材は、素材別に以下の4つに分類されます。
押出発泡ポリスチレン
ポリスチレンを連続して発泡させてボード状にしたものです。軽量で施工しやすく、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドを含まないため、安全性に優れています。
ビーズ法ポリスチレン
粒状の型にはめて発泡させる、発泡プラスチックの一種です。軽量で、現場でもカッターなどで簡単に切断できるため、広く利用されている断熱材です。
高発泡ポリスチレン
高発泡ポリスチレン樹脂に発泡剤を加えてつくる断熱材です。柔軟性や防水性に優れ、燃えた際に有害物質を排出しにくい特徴があります。
フェノールフォーム
フェノール樹脂に発泡剤と硬化剤を混ぜて作る断熱材です。耐火性に優れており、万一燃えても有害物質をほとんど排出しません。また、他の断熱材と比較して熱伝導率が圧倒的に低いという特徴があります。
断熱材の種類|天然素材系
天然素材系断熱材は、素材の特性を活かすために無添加で使われる自然由来の断熱材です。
「環境に配慮しながら、体に優しいものを使いたい」と考える自然派の方に人気がありますが、他の断熱材と比較して値段が高い傾向があります。
天然素材系の断熱材には、主に「羊毛」や「炭化コルク」の2種類です。
羊毛(ウールプレス)
衣料や布団などに利用されてきた羊毛は、断熱性だけでなく、調湿性にも優れた素材です。湿度が高ければ水分を吸収し、室内が乾燥すれば湿気を放出します。このため結露を起こしにくく、カビやダニの発生を防ぐ効果があるのです。
一方で羊毛は、ほとんどが輸入品のためコストがかかるうえ、扱う施工業者が少ないというデメリットもあります。
炭化コルク
ワインの栓やバージンコルクの製造の際に出る、コルク樫の端材を炭化させてつくる断熱材です。優れた断熱性や調湿性、吸音性を持つほか、防虫効果もあります。コルク樫にはダニなどを寄せ付けない防虫成分のスベリンが含まれているためです。
しかし、一般的な断熱材と比較して価格が高い傾向があります。
壁や天井、床に使われている断熱材は、表面には見えませんが、快適な住宅環境を支える「縁の下の力持ち」です。断熱材にこだわることで、室内の適温を保つのはもちろん、結露の防止や防虫効果、防音効果、耐火性などを得ることもできます。
注文住宅を建てる際はぜひ、ライフスタイルや予算を考慮しながら、ご家庭に合った断熱材を検討してください。