克雪住宅とは?3つのタイプや補助金も解説
2024/06/27
福井県は豪雪地帯であり、冬季には大量の降雪が特徴です。積雪に備えた除雪体制が整備されており、民間でも冬用タイヤの装着が一般的です。湿度の高い雪質や落雪による事故リスクもありますが、克雪屋根の導入でこれらの問題を軽減する取り組みも進んでいます。
耐雪型や自然落雪型、消融雪型などの選択肢があり、補助金制度も存在するため、安全性と建物の耐久性の向上が期待されます。
福井県では雪対策が必要
北陸地方に位置する福井県の気候は、日本海側気候に属し、冬には降雪が多い地域として知られています。福井県で注文住宅を建てる際には、雪対策に重点を置くことが大切です。
◇福井は豪雪地帯
福井県は、木の芽峠(きのめとうげ)を境として嶺北(れいほく)と嶺南(れいなん)に分けられます。嶺北東部には1,000mを超す山岳部が続き、例年のように豪雪に見舞われます。特に2018年2月の「福井豪雪2018」では、福井市内でも147cmの記録的な積雪が観測されました。
毎年の積雪に備え、福井県では除雪車や融雪剤の投入、道路の温水散布装置などの除雪体制が整備されています。鉄道施設の耐雪強化や定期的な点検も欠かさず行われているだけではなく、福井県民は自家用車に冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)を装着することを習慣づけています。
福井県内各地の最深積雪量の観測記録では、今立郡や勝山市、大野市の全域が3mとなっている他、福井市内でも鹿俣町、浄教寺町他数多くの地域で最深積雪量が2.5m以上となっています。
◇水分が多めで重い雪質
福井県は冬でも湿度が高く、雪の水分が多めなこともあり、雪質が重いという特徴があります。
北海道などは湿度も低く、雪質がサラサラとしているので、衣服に付着した雪も手で払うだけで落とすことができます。一方、福井の雪は水分が多く含まれているため、傘をささないと衣類が濡れてしまいます。
雪下ろししないとどうなる?
福井のような豪雪地帯で雪下ろしをしないと、屋根が損傷する可能性があるだけではなく、家が倒壊するリスクも発生します。また、落雪による事故も心配です。
◇家が倒壊
大量の積雪に見舞われると、屋根に積もった雪の重みで屋根が損傷したり、最悪の場合、崩壊したりすることがあります。特に古い家屋や耐雪設計が不十分な建物ではこのリスクが高まり、家が倒壊してしまうケースもみられます。
それだけではなく、雪が溶けて水分が屋根に染み込むことにより、雨漏りが発生することも考えられます。また、断熱性能が低下して室内の温度が下がると、快適な生活を楽しめません。
◇落雪による事故
雪下ろしをしないことによって、落雪事故が増加するリスクも見逃せません。降り積もった雪が太陽光で温められ、屋根から雪が自然に落ちる際に、人や車、隣接する建物に被害を及ぼすことがあります。
特に人が巻き込まれると、大きなケガや命の危険に繋がります。福井県では毎年、落雪による事故でケガ人や死亡者が出ており、厳重な注意が必要です。
克雪屋根を取り入れる
雪下ろしが福井県のような降雪地帯では重要とはいえ、雪下ろしは大変な労働ですし、他県の出身で作業に慣れていない人にとっては至難の技です。
住宅に克雪(こくせつ)屋根を取り入れると、雪下ろしの労力を大幅に減らせます。克雪屋根には、「耐雪型」「自然落雪型」「消融雪型」などの種類があります。
◇耐雪型
耐雪型とは、家自体の構造を強くして積雪の重みに耐えられるように作られた住宅のことです。雪が屋根から滑り落ちない構造になっているため、貯雪場となるスペースがほとんどなく、敷地が狭い家に適しています。
構造耐力を向上させるために基礎工事をしっかりと行い、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で家を建てるため、工事が大がかりになり、建設費用も増大するのが耐雪型の特徴です。
◇自然落雪型
自然落雪型は、雪が自然に滑り落ちるように設計する方式です。屋根は急勾配(通常30度以上)で、屋根材に金属板や滑りやすい素材・塗装を使用します。
落雪の貯雪スペースを必要とするため、敷地の広い住宅に向いています。屋根の上の雪が地上に貯雪されるため、高床式が推奨されます。
◇消融雪型
消融雪型は、電気やガス灯油などの熱によって屋根の上の雪を溶かす方式です。貯雪スペースを必要としないため、密集市街地などに適しています。既存の屋根に、リフォームの形でパネルや配管を設置することが可能です。
克雪住宅で雪トラブルを軽減
克雪屋根を導入することによって、積雪によるトラブルを大幅に軽減できます。安全性が向上するだけではなく、メンテナンスも容易になり、建物の寿命を延ばせるなど、さまざまなメリットが期待できます。
◇雪によるトラブルを軽減
豪雪地帯に住む人にとって、雪対策は命に関わる大切な問題です。福井県では、毎冬、大量の雪に押しつぶされてしまった、あるいは雪下ろしをしていて落下してケガをしたなどといった事故が起こっています。
それだけではなく、屋根に積もった雪が隣家に落ちてトラブルになることも珍しくありません。
さらに、家屋に対するダメージも重大な問題です。落雪によってエアコン室外機や給湯器など外置き住宅設備の故障、雪が溶けて屋根や外壁から内部に侵入する水漏れなども問題です。克雪屋根を導入するには費用がかかりますが、トラブルを未然に防ぐためには必要不可欠と言えるでしょう。
◇市によっては補助金も利用可能
克雪屋根の導入に対して補助金を利用できる地方自治体もあります。例えば福井市勝山市では、住宅の克雪化支援の一環として「屋根融雪設備設置促進事業」を推進しています。
補助金の対象となるのは融雪型住宅と耐雪型住宅の2種類で、補助金額は融雪型住宅が最大で30万円、耐雪型住宅は一律50万円です。
福井県は北陸地方に位置し、冬季には豪雪地帯として知られています。この地域では、特に嶺北地域が高い山岳部に覆われ、例年大雪に見舞われます。2018年の「福井豪雪2018」では、福井市でも記録的な147cmの積雪が観測されました。
この地域の雪質は湿度が高く、雪が重い特徴があります。そのため、積雪が屋根に残ると損傷や崩壊のリスクがあります。特に古い建物や耐雪設計が不十分な場合は、このリスクが高まります。さらに、雪が溶けて水漏れが発生したり、室内の断熱性能が低下したりする可能性も考えられます。
克雪屋根の導入は、こうした雪によるトラブルを軽減するための有効な手段です。耐雪型や自然落雪型、消融雪型など、さまざまなタイプがあり、建物の安全性と耐久性を向上させる役割を果たします。地方自治体による補助金制度も活用できるため、克雪屋根の普及が促進されています。