福井市はリノベーションを推進している! リフォームとリノベーションの違いも解説
2024/02/29
リフォームは既存の建物を修復して機能を回復させる小規模な改修に焦点を当てるのに対し、リノベーションは建物の価値や性能を新築時以上に向上させる大規模な改造を行います。リノベーションは自由度が高く、理想の住まいを実現するための選択肢となり得ますが、リフォームに比べて工事期間が長く、費用も高額になりがちなのが難点です。
福井市では、リノベーションを活用したまちづくりを推進し、遊休不動産の再利用を通じて地域の活性化を図っています。この取り組みは、リノベーションスクールの開催などを含め、地域課題の解決と産業の発展を目指しており、参加者にはリノベーションの技術を学び、実際に事業化へと繋げる機会が提供されています。
リフォームとリノベーションの違いとは?
住宅に関する工事に、「リフォーム」や「リノベーション」があります。これらの違いが曖昧で、違いがよく分からない方もいるかもしれません。これからマイホームをリノベーションしようか考えている方、リノベーションに興味ある方に向けて、リフォームとリノベーションの違いを解説します。
◇リフォームは回復、リノベーションは向上
簡単に言うと、リフォームは建物の回復を目的とした工事、リノベーションは建物のグレードアップを目的とした工事です。
住宅に限らず建物は経年とともに劣化していき、修繕や改修する必要が出てきます。経年劣化した状態から新築と同等の状態へ戻すために行われるのがリフォームです。例えば、老朽化した水回り設備の修理や取り替え、汚れた壁紙の張り替えなどがリフォームに該当します。マンションやアパートなどの原状回復もリフォームのひとつです。
一方、リノベーションは新築の状態よりも、建物の性能や価値を高めるために行う工事を指します。例えば、外観や間取りを大幅に変更する工事、耐震性や断熱性を高める補強工事などです。新築の状態にした上でより性能とデザインを改良できるため、近年では、リノベーションを選択する方も増えています。
◇工事の規模
リフォームとリノベーションは工事規模も異なります。リフォームでは、システムキッチンやユニットバスの入れ替え・壁紙クロスの張り替えなど、小規模な工事を指すのが基本です。
リノベーションは、間取り・水道管・排水管などの変更といった比較的大規模な工事のことを指します。枠組みだけを残し、それ以外を解体して改修するといった住宅事態を刷新する工事もリノベーションです。
◇住まいの性能
リフォームとリノベーションでは性能の基準が異なります。リフォームの場合は、新築時の性能と同レベルまたは新築より低いレベルが基準となり、リノベーションの場合は新築以上の性能を基準とするのが一般的です。
なお、オフィスビルを住宅に変更したり、オフィスを住宅内に併設したりなど、建物の用途を変更するための工事もリノベーションに含まれます。
リノベーションのメリットとデメリット
近年では、住宅などのリノベーションの需要が高まっています。しかし、リノベーションにはメリットとデメリットがあるため、リノベーション住宅を検討している方は知っておくと後に役立ちます。
◇リノベーションのメリット
リノベーションの最大のメリットはデザインや設計の自由度が高く、物件が豊富なことです。部屋の広さを変えたい、増築したい、使う素材にこだわりたいなどの希望も、リノベーションであれば柔軟に叶えられます。
また、人気エリアでは、新築となるとなかなか見つからないといったケースも少なくありません。しかし、リノベーションを視野に入れると選択肢が広がり、理想に近い物件と出会える可能性が高まります。
また、リノベーションは段階的な施工も可能です。場所によってリノベーションの時期を分ければ、予算の調整がしやすくなります。そのため、リノベーションを行う箇所や工事内容によっては、新築を購入するよりも費用を抑えることも可能です。
◇リノベーションのデメリット
物件の状態によっては、新築の注文住宅よりも費用がかかる可能性があります。中古物件の場合、シロアリやカビなどによる腐食や、断熱材の劣化など、外側からは見えない欠陥があとから見つかるケースがあるからです。こういった建物のトラブルは、枠組み以外を解体しなければ分からないことも少なくありません。修繕箇所が多いと、新築住宅よりも予算がかかる可能性もあります。
また、リフォームに比べて工事期間が長いこともリノベーションのデメリットといえます。工事規模が大きいため、マンションでは2〜3ヶ月、戸建て住宅では3〜4ヶ月かかるのが一般的です。物件を購入してからリノベーションする場合は、設計期間としてプラスで1〜2ヶ月かかります。その間は別に住居を用意しなければなりません。工事内容にもよりますが、基本的にリノベーションは工事規模が大きいため、リフォームよりも費用が高額になりがちです。
福井市はリノベーションのまちづくりを推進している
福井県では、使われていない空き地・建物といった遊休不動産をリノベーションして再生する取り組みを行っています。
◇福井市が行っているリノベーションまちづくり手法
産業振興・雇用創出・コミュニティ再生・エリア価値向上を図る取り組みとして、「リノベーションまちづくり」を行っています。これは、町で使われていない建物をリノベーションして新しい使い方を町全体で考え、地域課題の解決に繋げるという施策です。
実際に、築年数の経ったビルをリノベーションし、カフェやクラフトショップ、コワーキングスペースなどを設けて、若い人が多数訪れるスポットに生まれ変わった事例があります。
◇リノベーションスクールも行われている
リノベーションまちづくりでは、リノベーションスクールの開催も実施していました。リノベーションまちづくりのノウハウを3日間にわたって受講し、最終日に物件オーナーに向けてプレゼンテーションを行うという内容です。受講者のアイデアを講師がさらに突き詰めていき、実際にスクールで生まれたアイデアが事業化されています。
リフォームとリノベーションはどちらも住宅改修に関連する用語ですが、その目的と規模に大きな違いがあります。リフォームは主に既存の建物の機能を回復させるために行われ、水回りの設備交換や壁紙の張り替えなど、比較的小規模な改修が中心です。これに対し、リノベーションは建物自体の価値を向上させるため、より大規模な改造や全体のデザイン変更、構造的な変更を伴うことが多く、新築時の状態を大きく上回る性能やデザインを目指します。
リノベーションのメリットとしては、自分の理想とする住まいを実現できる高いデザインの自由度、特に人気エリアでの新築に比べて選択肢が豊富であること、予算に応じて段階的に工事を行える柔軟性などが挙げられます。ただし、リフォームと比べて工事期間が長く、工事費用も高額となる点がデメリットと言えるでしょう。
福井市では、これらのリノベーションの考えを活かし、空き地や遊休不動産の活用を通じたまちづくりを推進しています。古い建物を新しい用途で生まれ変わらせることで、地域全体の活性化に繋げることが目的です。さらに福井市は、リノベーションスクールなどの催しを通じて、参加者がリノベーションのノウハウを学び、実際に計画を事業化に繋げる機会を提供し、個人の創造性と地域の魅力を同時に高めています。